ホテルや宿泊施設において「客室清掃」は、顧客満足度や施設の評価に直結する重要な業務です。しかし、人手不足や時間的な制約により、清掃の質が安定せずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
客室清掃の質が低下すれば口コミ評価の低下や設備の劣化、さらに健康被害など、さまざまなリスクを招くおそれがあります。
本記事では、客室清掃における手抜きの危険性と、効率的かつ高品質な客室清掃を実現するための具体的なポイントについて解説します。
手抜き客室清掃がホテルにもたらす4つのリスク
客室清掃における手抜きには、大きな4つのリスクがあります。順に確認していきましょう。
1. 宿泊客からのクレームや悪評につながる
客室清掃の不備により、「髪の毛が落ちていた」「臭いが残っていた」といったクレームが発生することがあります。また、SNSやネットの口コミ評価情報で悪評が広がって、ホテルのイメージが損なわれるリスクも考えられます。
ホテルのイメージが損なわれると、運営全体にも大きな影響を及ぼし、信頼を回復するには多くのコストや労力を要するでしょう。
2.カビや雑菌の繁殖など健康被害への懸念
客室清掃が不十分であると、バスルームやエアコンなど、見えにくい箇所の汚れが原因で健康被害が起きる可能性があります。
客室清掃の手抜きは、アレルギー・感染症の要因になりかねません。特に小さなお子さまやご高齢の方、体調のすぐれないお客様にとっては、深刻な健康への影響を及ぼすおそれがあります。
3.客室設備の劣化・メンテナンスコストの増大
客室清掃の手抜きによって汚れが蓄積すると、クロスや水回りが早期に傷む場合もあります。特に水回りの劣化が早まると、修繕や交換にかかるメンテナンスコストが増大してしまう可能性もあります。
プロの手による定期的な客室清掃を導入することで、設備の長寿命化を期待できるので検討するとよいでしょう。
4.スタッフの負担増と離職リスク
不十分なマニュアルや客室清掃スタッフへの過度な負担が業務効率を悪化させているケースがあります。
スタッフの人数が足りず、限られた時間内で客室清掃を終えなければならない状況では、清掃の質が低下しやすく、さらにスタッフへの負担が大きくなりすぎることで、離職にもつながりやすいです。離職が続けば、さらに人手が不足し、より客室清掃の質が下がるという悪循環に陥るおそれがあります。
適切で効率的な客室清掃を行うためのポイント
適切で効率的な客室清掃を行うためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。具体的に見ていきましょう。
客室清掃工程の「標準化」がカギ
客室清掃の品質と効率を安定させるためには、作業工程の「標準化」が重要です。誰が担当しても一定レベルの清掃をすることができるようにチェックリストを導入することで、作業の抜けやムラを防ぐことができます。
また、清掃のルートや順序をあらかじめ定めておくことで、移動の無駄が減り、時間短縮にもつながります。
最新ツール・機器を活用した時短術
客室清掃の効率を高めるには、最新の清掃ツールや機器を効果的に活用することが重要です。たとえば、吸引力や機能性に優れた業務用・プロ用の高性能掃除機や、汚れをしっかりと拭き取れるマイクロファイバークロスを使うことで、客室清掃の時間短縮が期待できます。
また、環境殺菌に「ハロフォーガー(環境表面殺菌システム)」を利用すると短時間で部屋の殺菌が完了するため、効率的な感染症対策として非常に有効です。
さらに、汚れの種類や目的に応じて業務用洗剤や除菌スプレーを適切に選ぶことも、客室清掃を効率化するための重要なポイントです。
デジタルの力で客室清掃を「見える化」
センサーや専用アプリを活用して、客室清掃の作業時間や清掃頻度を可視化することで、業務の効率化が図れます。こうしたデジタルツールを導入すれば、複数のフロアや多数の客室においても、清掃状況を把握しやすくなり、無駄のない計画的な管理が可能になります。
客室清掃スタッフのスキルアップ
客室清掃の質を安定して保つためには、スタッフのスキル向上が欠かせません。現場で実際に役立つトレーニングを定期的に実施することで、清掃技術や対応力を高めることができます。
また、スタッフのモチベーションを維持しながら清掃品質の安定化を図るためには、感謝の言葉や評価制度など、働きがいを感じられる工夫も重要です。
効率化しても落とさない!客室清掃の品質を守るコツ
客室清掃の効率化を進めつつも品質は維持したいものです。清掃の品質を守るコツを紹介します。
重点チェックポイントを明確にする
客室清掃の質を高めるには、あらかじめ重点的に確認すべき箇所を明確にしておくことが大切です。たとえば、鏡の水垢やベッド下、エアコンの吹き出し口、バスルームの床などは見落とされやすいポイントのため、チェックリストに含めておくとよいでしょう。
また、清掃後の確認では匂いや見た目だけでなく、実際に手で触れたときの感触や湿度など、五感を使ったチェックも意識することが重要です。
客室清掃後のダブルチェック体制の構築
清掃品質を安定させるためには、客室清掃完了後のダブルチェック体制を整えることが効果的です。たとえば、簡易的な検査ルールを設けて清掃後の確認を定着させることで、見落としやミスを防ぎやすくなります。
さらに、点検担当者による抜き打ちチェックを取り入れることで、スタッフの意識向上にもつながり、全体の清掃品質を高水準で維持しやすくなります。
客室清掃は「プロ」に任せるという選択肢
客室清掃は、専門的な知識と技術を持つ「掃除のプロ」に任せることで、多くのメリットが期待できます。業務の効率化や客室清掃の品質向上を図るためにも、プロの活用を検討してみましょう。
専門会社による客室清掃の違いとは?
専門の清掃会社に客室清掃を委託することで、さまざまなメリットが得られます。まず、会社独自の研修を受けた清掃員が作業を行うため、安定した高品質な仕上がりが期待できます。
さらに、清掃ノウハウを活かした効率的な作業導線により、清掃時間の短縮にもつながります。例えば、高温スチームクリーニング機器を使用した「カーペットクリーニング」などでは、カーペットを敷いたまま、従来より短時間でリフレッシュが可能です。また、専用機材と科学の力で床をメンテナンスする「ウルトラフロアケア・システム」などでは、高い美観を保ちながらコストも抑えることができます。
自社管理よりもコスト最適化できる可能性
客室清掃をプロに依頼することで、自社で管理する場合にかかる人件費や教育コスト、清掃用具の管理にかかる手間を削減できます。さらに、客室清掃の品質が安定することでクレーム対応にかかるコストも抑えられ、全体としてのコスト最適化が期待できます。
また、低コストで快適な客室空間を維持する方法として、クロスや天井、トイレなどに「光触媒」をコーティングし、抗菌・防カビ・消臭効果等を得る方法も挙げられます。
光触媒コーティングには、屋内で効果を発揮するものと、しないものがあります。ホテルや施設などの屋内環境で光触媒コーティングの効果を狙う場合は、屋外の紫外線ではなく、窓からの太陽光や室内の電灯などの可視光線で活性化する屋内向けの光触媒を採用している業者に光触媒コーティングの施工を依頼するようにしましょう。
光触媒の具体的な活用方法については、過去のコラム記事『光触媒コーティングとは?ウィルス・カビ等への効果や施設での活用法を解説』で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
施設に合わせた客室清掃プランの提案
専門の清掃会社に依頼する場合、施設の稼働率や客層に応じて、柔軟にカスタマイズされた清掃プランを提案してもらえることが一般的です。客室清掃の頻度や重点的に清掃すべき箇所についても、状況に合わせて対応してもらえるため、無駄のない効率的な運用が可能でしょう。
また、日常清掃は自社スタッフで対応し、「定期清掃」のみをプロに依頼するといったハイブリッドな運用方法も選択肢のひとつとして有効です。
まとめ:客室清掃はホテルの信頼と収益を守る「見えない武器」
手抜きの客室清掃は、短期的には作業時間の削減につながるように見えるかもしれませんが、長期的には顧客満足度の低下や設備の劣化など、大きな損失を招く可能性があります。 客室清掃にかける費用は、単なる経費ではなく、ホテルの資産と信頼を守るための“投資”と考えるべきです。
そのうえで、客室清掃の標準化・効率化・品質管理を同時に進めていくには、やはりプロの力を借りることが有効です。高機能な清掃ツールや科学的アプローチを取り入れたプロの清掃は、作業の効率化だけでなく、美観の維持にも大きく貢献します。
「株式会社マコトサービス」では、ホテルをはじめとする宿泊施設において、豊富な実績と専門性を活かし、各施設に最適な清掃プランをご提案いたします。ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。