清掃会社の選定は、施設の衛生状態や美観を保つだけでなく、そこで働く人や訪れる人の安全を守り、企業のイメージを高めることにもつながる大切な判断です。だからこそ、安心して任せられる清掃会社を慎重に選びたいものです。
もし、清掃会社の選び方を誤ると清掃の質が低下し、その結果、施設内の衛生状態や安全性に悪影響を及ぼすおそれがあります。例えば、衛生管理が不十分だと感染症のリスクが高まり、清掃や整備の不備は転倒や設備トラブルといった思わぬ事故につながることもあります。
特に医療・介護・宿泊施設のように、衛生面や安全面の配慮が欠かせない現場での、清掃会社選びは重要です。
この記事では、清掃会社の選び方の基準や失敗しないための7つのチェックポイント、清掃会社を選ぶ際の注意点などについて解説していきます。
清掃会社選びの基礎知識
最近では、清掃業務を専門の会社に委託する企業が増えてきています。
清掃会社に期待する成果を出してもらうには、自社の施設に合った清掃会社を選び、どんな役割や成果を期待するのかをはっきりさせておくことが大切です。
そして、自社の施設に合った清掃会社を選ぶには、まず清掃会社についての基礎知識や、清掃会社を選ぶ際のポイントを把握しておくことが欠かせないでしょう。
ここでは、清掃会社の種類や清掃内容の分類、そして清掃が果たす役割や重要性について、わかりやすくご紹介していきます。
清掃会社・清掃内容の分類と、対応範囲の違い
「清掃会社」と言っても、その専門性や対応範囲は会社によって様々です。特に施設の清掃を依頼する場合は、自社の業種や施設に合った清掃会社かどうかを見極めることが重要になります。
清掃会社の中には、「家庭向け清掃(ハウスクリーニング)」を専門とする会社もあれば、「医療・介護・宿泊施設などの、専門性が求められる法人施設向け清掃」に対応する会社もあります。こうした違いを理解せずに依頼してしまうと、求めているレベルや内容の清掃サービスが受けられない可能性があります。
例えば、家庭のエアコンクリーニングや水回りの清掃を中心とする家庭向けの清掃会社では、医療施設や介護施設などでの感染症対策や商業施設でのフロアメンテナンスといった、高い衛生管理基準や専門性を求められる清掃には、実際のところ対応できないケースもたくさんあるので、依頼したい内容ができる会社かどうかを事前にしっかりと確認するようにしましょう。
また、家庭向けの清掃会社か法人施設向けの清掃会社か、という分類だけでなく、施設向けの業務用清掃では、「日常清掃」「定期清掃」「特殊清掃」など、清掃内容によりさらに分類分けがされています。
日常清掃
「日常清掃」は、施設内の共用部や床面などを対象とした、毎日こまめに行う基本的な清掃です。施設を常に清潔で快適な状態に保つことを目的としています。
定期清掃
「定期清掃」は、ワックスがけやカーペットの洗浄など、より専門的な技術が求められる定期的なメンテナンス清掃です。
特殊清掃
「特殊清掃」は、感染症対策や防臭処理、ダクト洗浄やグリストラップ洗浄など、高度なスキルや専用機材が必要となる作業です。
自社施設に適した清掃会社を選ぶためには、これらの清掃分類や対応可能な清掃範囲を事前に確認しておくことが大切です。
医療・介護・宿泊施設の抱えるリスクと「清掃の役割と重要性」
清掃会社に業務を依頼するメリットは、「汚れを落とす」ことにとどまりません。
たとえば、医療・介護・宿泊施設などでは、床や手すりといった共用部の清掃レベルが感染症の予防や転倒事故の防止に大きく関わってきます。近年では、ATP検査(汚れや菌の量を数値化する方法)を用いて、目に見えない清掃の質まで管理するケースも増えています。
こうした高い清掃レベルは、施設を訪れる人に安心感を与え、信頼性の向上にもつながります。特に医療や介護などの現場では、第一印象の「清潔感」が施設全体の評価に直結することも少なくありません。
さらに、整理された環境はスタッフの動線や作業効率を改善し、働きやすさや生産性の向上にも寄与します。結果として、スタッフの定着率向上といったプラスの影響も期待できます。
SNSや口コミで施設の印象が簡単に共有される時代だからこそ、清掃の質そのものが企業イメージやブランド価値に直結する重要な要素となっているのです。
失敗しない清掃会社の選び方7つのチェックポイント
清掃会社を選ぶ際は、単にサービス内容や価格だけでなく「見落としやすい落とし穴」にも注意が必要です。ここでは、契約前に確認しておきたいポイントを7つご紹介します。
1.施設ごとの特性と要件に対応できる、専門性の高い清掃会社を選ぼう
施設の特性をしっかり理解している清掃会社を選ぶことは、質の高い清掃を実現するために欠かせません。特に医療・介護・宿泊施設などでは、それぞれの業種に応じた衛生管理の基準や清掃方法が求められます。
例えば、医療施設であれば感染症対策に関する専門知識やノウハウが不可欠であり、介護施設では高齢者の安全に配慮した清掃方法が求められます。宿泊施設においては、お客様に快適な空間を提供するための美観維持が重要となるでしょう。
一般的な清掃会社では、これらの専門的な知識や技術、経験が十分でない場合もあります。そのため、自社の業種に特化した清掃会社を選ぶことが、質の高い清掃を確保する上で重要なポイントとなります。
例えば、医療施設の清掃を依頼するのであれば、感染症対策に関する研修を受けたスタッフが在籍し、適切な薬剤や清掃手順を熟知している会社を選ぶことが大切です。また、「環境殺菌」や「ウルトラフロアケア・システム」といった特定の技術やシステムを導入している会社は、より専門性の高い清掃を提供できる可能性が高いと言えるでしょう。自社の施設が求める清掃の内容や重点ポイントを明確にしたうえで、それに対応できる専門性を持った清掃会社を選びましょう。
2.清掃効果を「科学的根拠」や「数値」で証明できる会社を選ぼう
これからの清掃は、「見た目の綺麗さ」だけでは不十分です。施設の利用者様やスタッフの方にとって、心から安心・安全な環境を提供するために、目に見えない菌や汚れまでしっかりと除去し、衛生的な環境を維持することが求められます。そのため、専門的な技術やノウハウを持ち、清掃の効果を科学的な根拠や客観的な数値で示すことができる清掃会社を選ぶことが重要になります。
根拠や数値を示す具体的な例としては、ATP検査や、細菌培養検査などが挙げられます。これらの検査を実施し、清掃前後の数値を比較することで、清掃の効果を可視化することができます。また、清掃会社によっては、独自の「見える化」システムを導入し、清掃状況や効果をデータで報告してくれる場合もあります。
まずは自社の施設において、どういった衛生レベルが求められるのかを明確にしましょう。そのうえで、その衛生レベルの基準を満たしているかどうかを、しっかりと数値で明示できる管理体制を持っている清掃会社を選びましょう。
検査器具を自社で保有していたり、専門の細菌培養施設と提携していたりするなど、数値管理体制が整っているかどうかも確認すべきポイントです。科学的な根拠に基づいた清掃は、見た目を整えるだけでなく、感染症や事故のリスクを防ぐ“リスク管理”としての役割も果たします。医療・介護施設、宿泊施設、商業施設などでは、清掃の質がそのまま利用者の安全につながります。そのため、科学的根拠に基づいた清掃を行う清掃会社に依頼できるかどうかが、重要な選定ポイントとなります。
3.感染・転倒・設備トラブルを防ぐ・安全対策に強い清掃会社を選ぼう
清掃は、単に美観を保つだけでなく、施設内の安全性を高める上でも重要な役割を担っています。特に、感染症、転倒事故、設備トラブルなどは、適切な清掃が行き届いていない場合に発生リスクが高まります。そのため、安全対策に強く、これらのリスクを未然に防ぐための取り組みを行っている清掃会社を選ぶことが不可欠です。
転倒防止対策としては、滑りにくいワックスの使用や施工、床面の適切なメンテナンス技術を持つ清掃会社を選びましょう。また、感染症リスクを防ぐためには、適切な消毒・除菌方法の知識や技術、実績を持つ会社であることが重要です。衛生事故の防止に関する具体的な対策や、過去の事例などを確認することも有効です。
さらに、清掃は設備の維持管理にも関わることがあります。例えば、空調ダクトの清掃を怠ると、カビの繁殖やホコリの堆積による空気質の悪化だけでなく、火災の原因となる可能性もあります。電気コード類の整理整頓や、清掃時の設備への配慮なども、設備トラブルを防ぐための重要なポイントです。契約前に、清掃会社がどのような安全対策を講じているのか、具体的な取り組み内容を確認するようにしましょう。
4.スタッフのマナー・対応力も品質の一部
清掃スタッフは、ただ掃除をするだけでなく、施設の利用者や従業員と接する機会も少なくありません。そのため、身だしなみや言葉遣い、マナーといった対応の一つひとつが、利用者に安心感を与えるだけでなく、職場の雰囲気やスタッフの士気にも影響を与える大切な要素となります。
こうした対応力や意識の高さは、清掃の質そのものにも直結します。たとえば、丁寧なあいさつや柔軟な受け答えは、サービス全体の印象を高め、信頼感にもつながります。
また、緊急時や想定外の事態への冷静な対応力も、現場で求められる重要なスキルの一つです。清掃会社を選ぶ際は、スタッフに対する接遇教育や研修体制が整っているかを確認しておきましょう。
見積もりや打ち合わせの際の対応からも、その会社全体の姿勢や教育レベルが垣間見えることがあります。
5.契約内容がわかりやすく、柔軟な対応ができる会社が安心
清掃業務を安心して依頼するためには、契約内容が明確でわかりやすく、かつ状況に応じた柔軟な対応ができる清掃会社を選ぶことが重要です。契約前に提供されるサービス内容、作業範囲、清掃頻度、契約期間、支払い条件などが明記された、明確な見積書と契約書を提示してくれるかを確認しましょう。不明な点や疑問点があれば遠慮せずに質問し、納得のいくまで説明を受けることが大切です。
また、施設運営においては予期せぬ事態や急な清掃ニーズが発生することもあります。そのような突発的な状況にも、迅速かつ柔軟に対応できる体制が整っているかどうかも確認しておきましょう。例えば、営業時間外の対応が可能か、緊急時の連絡体制はどうなっているかなどを事前に確認しておくことで、万が一の際にも安心して対応を任せることができます。
6.目先の費用より「長期的な価値」で判断しよう
清掃会社を選ぶ際、初期費用や月額費用といった目先の金額だけに捉われないように気をつけましょう。長期的な視点で見ると、清掃の質やサービス内容が施設の運営に与える影響は非常に大きいです。
安価な清掃会社を選んだ結果、清掃の質が低く、かえって衛生状態が悪化したり、設備の寿命を縮めてしまったりする可能性も考えられます。
清掃会社を選ぶ際には、単に費用だけでなく、予算に応じた適切な清掃頻度の見直しや、清掃による施設稼働率の向上、長期的なコスト削減といった、総合的な価値を考えて判断することが大切です。
また、それぞれの施設の状況やニーズに合わせて、柔軟に清掃プランを提案してくれる会社を選びましょう。画一的なプランではなく、オーダーメイドのプランを提供してくれる会社は、より効果的な清掃が期待できます。
7.口コミ・対応エリア・過去実績を事前にしっかりチェック
実際に清掃サービスを利用した人の声は、清掃会社の信頼性やサービス品質を知る上で非常に貴重な情報源となります。清掃会社のホームページや紹介サイトに掲載されているお客様の声だけでなく、第三者の口コミサイトやSNSなども参考に、評判や評価を事前にしっかりとチェックしましょう。特に、自社と同じような業種や規模の施設で実績があるかどうかを確認することは、清掃後のイメージを具体的に持つうえで重要です。
また、清掃会社の対応エリアが、自社の拠点と合致しているか確認しましょう。複数の拠点を持つ企業の場合は、広範囲をカバーできる清掃会社を選ぶ必要があります。
さらに、トラブル発生時の連絡体制や対応スピードも重要なポイントです。緊急時に迅速かつ適切に対応してくれる清掃会社を選ぶことで、万一の際にも信頼して対応を任せられます。
清掃会社を選ぶ際の注意点
清掃に関するトラブルを未然に防ぐためには、清掃会社を選ぶ段階での注意が欠かせません。ここでは、清掃会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントを整理しました。ぜひ確認してみてください。
安すぎる見積もりに注意
清掃会社の選定において、提示された見積もりの安さだけで判断するのは危険です。極端に安い見積もりには、人件費の削減による清掃品質の低下、下請け業者への丸投げによる責任の不明確化、必要な清掃項目の省略など、様々なリスクが潜んでいることも多いです。
安さだけで選んでしまうと、結果的に清掃の質が伴わず、再度別の清掃会社を探すことになったり、衛生状態が悪化したりする可能性も否定できません。長期的な視点で見れば、かえってコストが高くつく場合もあります。
見積もりを比較検討する際は、単に金額だけでなく、サービス内容や作業範囲、使用する洗剤や機材、スタッフの質なども含め総合的に判断することが重要です。
契約書の確認ポイント
清掃会社との契約を結ぶ際には、契約書の内容を隅々まで確認することが非常に重要です。特に、以下の項目については必ず確認するようにしましょう。
作業範囲や作業時間
作業範囲として、どの場所をどのような内容で清掃してもらうのかが具体的に記載されているかを確認しましょう。また、作業時間として、清掃を行う曜日や時間帯、おおよその作業時間の目安が明記されているかも重要です。
追加料金
通常の清掃範囲外の作業や、特別な清掃が必要になった場合の追加料金の規定はどうなっているかを確認しましょう。
緊急対応の有無
緊急時や、トラブル発生時の対応体制や連絡先が明記されているかの確認は重要です。
契約期間と解約条件
契約期間はどのくらいか、途中解約する場合の条件や違約金はどうなっているかを必ず確認しておきましょう。
損害賠償責任
万が一、清掃作業中に施設や設備に損害が発生した場合の損害賠償責任の範囲についても、明確になっているかを確認しましょう。
個人情報保護
顧客情報や従業員情報などの取り扱いに関する規定はどうなっているかを確認することは非常に重要です。
これらの項目をしっかりと確認し、不明な点があれば必ず質問し、納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
「とりあえず依頼」する前に比較・相談を
清掃会社を選ぶ際には、「とりあえずどこでも良い」と安易に依頼するのではなく、複数の清掃会社を比較したり見積もりを取り、サービス内容や料金、実績などを比べてみることが大切です。
多くの清掃会社では、無料相談や現地見積もりを実施しています。こうした機会を積極的に活用し、自社施設の状況や清掃で重視したい点や外せない項目、求める対応などを具体的に伝えることで、より最適な清掃プランを提案してもらいやすくなるでしょう。
実際に担当者と会って話すことで、会社の雰囲気や担当者の対応力などを直接確認することもできます。比較検討をしっかりと行うことで、適切な清掃会社を選ぶようにしましょう。
清掃会社導入によるメリット
清掃を専門の会社に依頼することには、多くのメリットがあります。
1.自社スタッフの業務負担軽減
社内での清掃当番を廃止するなど、本来の業務に集中できる環境を作ることができます。
2.感染症や転倒事故の予防によるリスク回避
専門的な知識と技術による清掃で、安全な施設環境を維持できます。
3.来訪者の印象アップ、施設の信頼性向上
清潔で快適な空間は、顧客満足度を高め、施設のブランドイメージ向上に貢献します。
4.実績ある清掃会社なら、安定した品質と長期的なコスト削減も可能
効率的な清掃プランの導入や最新技術の活用によって、長期的に無駄なコストを削減できる場合があります。
まとめ:清掃会社は「専門性と対応力」で選ぼう
清掃会社は、施設運営を支える「裏方」でありながら、衛生管理や安全性、利用者の印象にまで関わる存在であり、施設の信頼性や経営にも影響する重要なパートナーです。
そのため、清掃会社を選ぶ際は、料金や知名度だけで判断するのではなく、「自社の業種に合った専門性があるか」「科学的根拠に基づいた清掃体制が整っているか」「急な依頼やトラブルに柔軟に対応できるか」といった点も、しっかり見極めることが重要です。
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