2023年03月31日

「クリーンルーム」とは?定義やしくみ、用途を初心者向けに徹底解説!

「クリーンルーム」とは?定義やしくみ、用途を初心者向けに徹底解説!

「クリーンルーム」は、あまり聞きなれないものかもしれません。そんな方も、TVなどで髪まですっぽり白い専用着で覆った人が工場や病院の無菌室で働くのを見たことがあるのではないでしょうか。また、クリーンルームの担当者になったものの、クリーンルームがどんなものか分からず困っている人もいるかもしれません。ほこりや汚れを持ち込まず清潔に保たれた部屋が「クリーンルーム」です。今回は、そんなクリーンルームの定義やしくみ、要となどを初心者にもわかりやすく解説していきます。

1.クリーンルームの定義は?

クリーンルームとは、「防塵室」とも呼ばれる部屋のことです。具体的には、次のように定義されています。

1-1.空気中の微生物や微粒子が少ない部屋

クリーンルームとは、「空気中に浮遊している微生物や微粒子が規定レベル以下の空気洗浄度にまで管理された部屋」と定義されています。「空気清浄度」とは、空気中の一定以上の大きさの粉塵の数量で表される空気のきれいさの目安です。この「微粒子」とは、目に見える100分の1の大きさのものを指します。

1-2.湿度と温度が快適な部屋

クリーンルームはさらに、「温度・湿度を快適な状態にして、外のゴミが侵入しないように空圧を制御した部屋」とも定義されています。

1-3.クリーンルームの規格

クリーンルームは、空気の清浄度によってクラス分けされています。1立方メートルの空気中に粒径0.1μm(マイクロメートル)の粒子の量によって、国際統一規格である「ISO規格」で「クラス1」から「クラス9」までの9段階に分けられています。クラスの数字が小さいほど洗浄度が高い空間だと言えますが、設備費やランニングコストがかかることになります。

2.なぜクリーンルームが必要なのか?

人の目に見えない微粒子や微生物をできる限り除去した清潔な空間は、なぜ必要なのでしょうか。クリーンルームを必要とする業界によって、クリーンルームは2つに分けられています。どのような業界でクリーンルームが必要とされているのか見ていきます。

2-1.工業用クリーンルーム

半導体や液晶、電子部品機器やプリント基板といった精密機器製造は、微細な粉塵や汚れの付着も大きな影響を与えてしまいます。また、製造者がかいた汗が落ちてしまうようなことがあっては、精密機器は正確に作れません。安心した製造のために作られたのが工業用クリーンルームです。徹底した粉塵管理が必要な製品製造においては、クラス3~5のクリーンルームが適当です。印刷工場や自動車工場などは、7~8クラスで対応できます。

2-2.バイオロジカルクリーンルーム

微粒子とともに空気中を浮遊する微生物や菌の数を徹底管理しなければならない食品加工や医療分野で用いられるのが、バイオロジカルクリーンルームです。食品加工(乳製品・食肉加工・発酵食品加工・醸造など)やバイオ関連、植物工場、研究施設など、バイオロジカルクリーンルームが必要な分野はさまざまあります。

また、病院においても無菌治療室や手術室など細菌やウィルス、カビなどの微生物による空気感染が起こらないよう、細心の注意を払う必要があります。そのような部屋にクリーンルームが適用されます。

3.クリーンルームのしくみ

クリーンルームには、空気を天井から下方に吹出し循環させる「パッケージエアコン乱流方式」や水平方向に吹出しさせる「水平層流方式」などさまざまな種類があります。ここではすべてのクリーンルームに共通する基本的なしくみを紹介していきます。

3-1.清潔な空気を循環させる

粒径0.3μm以上の微粒子を99.99%捕集する効果のあるHEPAフィルタを使い、集塵を行います。フィルタとファンが一体化したFFU(ファンフィルタユニット)を使い、部屋いっぱいにきれいな空気を拡散させます。

3-2.排気する

FFUの反対側の壁に排気口を設けることで、浮遊物が自然と押し流される気流が作られ清浄度を保てます。

3-3.密閉する

クリーンルームの室内に外部からの汚染流入を防ぐために、クリーンルームは密閉空間にする必要があります。そのためには室内は、室外よりも気圧が高い陽圧の状態を保たなければなりません。FFUによって常に空気を取り入れることで陽圧を保つとともに、入口を密閉するようにします。

4.まとめ

目に見えない微細なほこりや汚れ、菌などを持ち込まないクリーンルームは、さまざまな精密機器製造や食品加工、そして医療の現場など多岐にわたる分野で使用されています。クリーンルームの設備や運営にはコストがかかります。使用する目的に応じたクラスのクリーンルームを選べば、コストの無駄が省けます。現在、さまざまな分野でクリーン化が進められているので、今後もクリーンルームの需要は拡大していくでしょう。

医療・宿泊・介護施設に特化した清掃業を手掛ける「株式会社マコトサービス」では、クリーンルーム向けの消毒や環境モニタリング測定を行っております。クリーンルームが実際に清潔な状態を保てているかどうかを測定するとともに、普段手の届かない所まで徹底消毒いたします。クリーンルームの日常清掃も、専門的な教育を受けたスタッフが行います。ぜひお気軽にご相談ください。